心桜

朝には雨もすっかりあがり、6時を少し過ぎた頃、気持ちのよい空気の中で家を出発。
桜が満開だという話を耳にして、「久しぶりに桜まつりにでも行ってみようか」と、前夜に妻へぽつり。翌朝は少しだけ早起きする予定立てとした。
公園近くの道路は、すでに桜まつりを楽しみに来られた車で大渋滞。横目にその様子を眺めつつ、私はこっそり“秘密の無料駐車場”へ。おかげさまで無事に車を停めることができ、朝からちょっとした達成感。
澄んだ青空の下、公園に足を踏み入れると、桜とお堀、その向こうに見える岩木山の景色がとても爽やか。お城のある本丸へ進むと、まだ7時前ということもあり、なんと無料で入園でき、「早起きは三文の徳」とはよく言ったもので、大人2人分の入場料が浮き、なんとも幸先の良い一日の始まりとなりました。
本丸にあるお城は、今年の9月には工事を終えて元の場所へ戻るとのこと。桜とお城、そしてお岩木山を背景に写真を撮りつつ園内を散策。中でも、西堀にかかる春陽橋(しゅんようばし)から水面を眺める景色や、橋を渡った先に広がる「桜のトンネル」は、思わず足を止めてしまうほどの美しさ。
場所を思い浮かべて「もしかして…」と気づかれた方は、ぜひ一度足を運んでみていただきたい風景です。
園内を歩きながら妻と話していると、ふと幼い頃の思い出がよみがえります。
親族と夜桜を見に来た際、買ってもらったプラスチックの刀が嬉しくて、肩車をされながらはしゃいでいたこと。気づいた時には刀がなくなり、「さや」だけが残っていて、しょんぼりしたこと――。
そんな話をすると、妻から「それ、もう3回聞いたよ」と一言。懐かしさとともに、少しだけしょんぼりしつつ、思わず笑ってしまいました。
園内散策も終盤。まだ開いていない露店が並ぶ坂道の途中に、「花よりだんご」と書かれた看板を発見。桜を見に来た人たちに、堂々と団子で勝負を挑むその心意気に、思わず感心してしまいます。どんなお店なのか、機会があればぜひ立ち寄ってみたいものです。
その先にあった、少し背丈の低い桜の老木。枝は多くありませんが、細い枝がすっと真っ直ぐに伸びていました。
家庭のことも、仕事のことも、こうして少しずつ先へ引き継がれていくのは同じなのかもしれないと――。そんなことを感慨深く思いながら、静かな余韻とともに帰路に。



