はじめての糸

他分野の業種から夢と少しの勇気を持ち転職し、早くも半年以上が過ぎました。
入社する前から、私の生活の中には「糸」がありましたが、家庭用ミシンを使い、子どもたちの野球のユニフォームに背番号や膝パットを、思いを込めながら縫いつけること。それが私にとって身近な「糸」との関わりでした。
そんな私が今では「糸」を中心とした縫製資材の受発注業務をはじめ、店頭でのお客様対応や販売業務にも携わっています。実際に仕事として向き合ってみると、「糸」の世界は想像以上に奥深いものでした。
これまで私が知っていたのは、家庭用の小巻ミシン糸だけでした。ところが、工業用ミシン糸は何千メートルもの長さで巻かれており、初めて見た時はとても驚きました。
さらに、素材によって特徴も大きく異なります。素材、太さ、色など想像していた以上の種類の多さに、頭の中が「???」でいっぱいでした。
ブラウスやスポーツウエアなど仕上がりがきれいに見える製品に適し、感触は表面がツルツルしているのが特徴のフィラメント糸。
毛羽が自然に馴染みやすくシャツやパンツと言った日常着など見た目の自然さを重視するのに適し、感触は表面がケバケバしたスパン糸。
天然素材ならではのチクチクしにくく、衣類やタオルなど肌に触れる製品に向いていて、熱にも強い綿糸。
シルク生地やドレス、高級なスーツや着物など、見た目や質感にとにかく高級感がでる絹糸。
また、細さや色にはそれぞれ番号があり、細さは番手で表し、細いほど数字が大きいので初めは戸惑いました。「一定重量からどれだけ長い糸が取れるか」なので、長く取れる=細い糸=数字が大きい、となるそうです。
理由を教えていただいて、感心しました。
さらに、色を確認する時は「糸」の見本帳を参考にし、番号と照らし合わせて色々な想像が広がります。
「この色の組み合わせだと、一体どんな商品が出来上がるのだろう?」
「素敵なデニムパンツが出来上がりそうだなぁ」
「動きやすそうな素材の洋服が出来上がるのかなぁ」
と、富山県のファッションリーダーを自称してきた私としてはワクワクし、在庫確認も心が弾みます。
種類が多く、用途や素材によって使い分けられ、仕上がる生地がそれぞれまるで違う「糸」に関わる仕事は、日々勉強になり驚きと楽しい刺激に感じています。
仕事の楽しさは受発注業務だけに留まりません。店頭にご来店されるお客様や仕入れ先の方々に接客出来ることも楽しいことの一つです。
例えばこれまで電話越しでしかお話したことがなかったお客様が、初めて店頭に来てくださったとき。初めましてのはずなのに、以前から知っているような親しみを感じ、自然と笑顔での接客になります。
あるお客様はベビーカーを押してご来店。覗いてみると小さなお子さんがスヤスヤと寝ていました。たくさんのキンバスパン糸をご購入いただき、手が塞がっていたので近くのご自宅に、商品を運ぶお手伝いをさせていただきました。
また、店頭の自動ドアが開き「いらっしゃいませ!」とい言いお客様や仕入れ先の方々をお迎えしますが、思いがけず可愛いお客様ご来店のときもあります。
ドアセンサーが反応し可愛らしい保育園児たちが先生と手をつないでお散歩している光景。入り口付近に陳列してある雑貨を見ている方の連れているワンちゃんが、ちょこんとドア前に居る光景。そういった様子も何とも言えない癒しです。
私の日々の仕事や生活では、たくさんの学びや発見、癒しや笑い、そして反省にあふれています。
そんな時間が少しずつ心に積み重なり、まるで「糸」の見本帳のように、色とりどりの経験が増えていくことを楽しく感じています。
もちろん今もまだまだ勉強の日々ですが、本社や遠く離れた各地の営業所の皆様が丁寧に優しく、そして楽しく教えてくださり、少しずつ学びを重ねています。
会社の方々、お客様や仕入先の方など、人との繋がりを通して何気ない会話の中で生まれる笑顔や安心感など、「糸」を介し明るい気持ちになってもらえるような、そんな思いで笑顔を忘れずに今日もまた業務に勤しんでいます。


